前立腺癌
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前立腺癌について
泌尿器科領域の中で、現在非常に増加している前立腺癌について書いていきたいと思います。
Q1.前立腺はどこにあって、どんな働きをしているの?
前立腺は男性にしかない臓器で、膀胱の下で尿道を取り囲むようにあります。
大きさはくるみ大ほどで、みかんなどを思い浮かべてもらうとわかりやすいのですが、皮の部分がいわゆる外腺、実の部分が内腺でその中心を尿道が通っている状態です。
下の図のような位置になっています。
機能としては、精液の一部をなす前立腺液を作っていて、精子の熟成に関与していると言われています。
Q2.前立腺肥大症と前立腺癌はどう違うの?
前立腺肥大症も癌も腫瘍ではありますが、肥大症は良性疾患で癌は悪性疾患だというのが一番の違いです。
前立腺は上記に述べたように、内腺と外腺からなっています。(本来の解剖学的なものからすると若干違っていますが、説明上都合がいいので、以後もこの言葉で説明します)
内腺が大きくなるのが、前立腺肥大症で、外腺からできてくるのが前立腺癌です。(前立腺癌の中には内腺からできるものもありますが、説明上のためです)
そのため、前立腺肥大症では比較的早くから排尿症状がでてきます(頻尿や夜間頻尿、残尿感、排尿困難、切れが悪い、でるまで時間がかかるなど)が、前立腺癌は、中の内腺がクッションのようになって進行するまでなかなか症状がでてきません。
症状に関しては以上のように時期的な問題はありますが、前立腺の位置からして基本的には排尿の症状がでてきます。
また、前立腺癌は悪性のものですから、病気の進行で排尿症状以外に転移による症状もでてきます。転移が一番多いのは骨で、骨に起因する痛みで見つかることもまだ多いのが現状です。(以前に比べれば少なくなってきていますが)
Q3.前立腺癌はどのようにして見つかるの?
上記で述べたように、排尿異常で病院を受診し見つかったり、骨の痛みを調べているうちに見つかったりもしますが、今増加しているのは、検診やドックなどで行われている血液検査:前立腺癌の腫瘍マーカーで異常を指摘され、その後精査をしていく際に見つかることが増えています。
PSA:前立腺特異抗原といいますが、この数値が4以上だと多くの施設などで異常と指摘されると思います。これにも、年齢や前立腺の大きさなどで左右されることがあるので、50歳ぐらいの人では4以下でも異常と指摘されることもあると思います。
いずれにしても、この数値で異常を指摘され泌尿器科に受診した際は、まずは直腸診といって、肛門のほうから指をいれて検査をします。さらに、指のかわりに、プローベというものを挿入し超音波検査を行います。これで大きさや形、内部の異常などを診て総合的に判断して、前立腺生検という組織検査を行い最終的に診断します。
前立腺生検の方法は各施設で異なりますので、その施設で確認してもらうのが一番だと思います。違いは入院するかしないか、直腸粘膜をとおして組織を採取するか、会陰部の皮膚をとおして採取するかの違いになります。
ちなみに当院では外来で(入院しないで)行っています。
前立腺癌については、少しずつさらに充実させていきたいと思います。